Beauty
2024.2.15

皮膚の乾燥と肌荒れ

皮膚の乾燥と肌荒れ
真冬の寒さとともに、私たちを悩ませるのが肌の乾燥。
「顔がカサカサでメイクがのらない」「足の皮膚が乾燥して粉がふいちゃう」といった状態を放置していると、皮膚が炎症を起こしてかゆみやくすみを招きます。早めの対処で、肌に潤いを取り戻すにはどうしたらよいでしょうか。

乾燥肌は、
皮膚の炎症の予備軍!?

そもそも、肌はなぜ乾燥したり、炎症を起こしてかゆくなったりするのでしょうか。 それを知るためには、まず皮膚の構造とバリア機能についておさらいすることから始めましょう。
表皮図
皮膚の表面は「角層」と呼ばれるごく薄い層になっています。
角質の細胞は、タンパクと皮脂膜、そして天然保湿因子やセラミドで構成され、ホコリなどの外敵から皮膚を守る強いバリア機能と、水分が蒸散しないように保持する機能とを備えています。この角層の厚みは、たった0.02mm! キッチンにある食品用ラップくらいのごく薄い層なのです。そして、皮膚の水分の多くは、この角層の下にある層に蓄えられています。

つまり、皮膚表面の角層は、内側の水分を逃さないためのガード役。
なんらかの要因でこの角層のバリア機能が低下してしまうと、皮膚にキープされていた水分が蒸散してしまったり、化学物質や化粧品、汗などの刺激物が角層の内部にまで侵入したりするのです。 そうなると、皮膚は乾燥肌〜肌荒れ〜皮膚の炎症へという負のスパイラルにおちいります。

角層のバリア機能を低下させ、乾燥させてしまう要因はさまざまです。加齢もそのひとつですが、若い人でも睡眠不足や過労、ストレス、栄養不足、日焼け、気温の低下、花粉、かぶれ、そして皮膚の洗いすぎやこすりすぎによる刺激などが、皮膚トラブルを引き起こさす要因になります。
特に、これから本格的に増える「スギ花粉」は、アレルギーの原因物質となるだけでなく、スギ花粉そのものが皮膚を乾燥させてしまうことも明らかになりました。

乾燥肌は、すでに肌荒れを起こしかけている状態なのです。しかし、この肌荒れスパイラルにおちいる前に、正しいスキンケアと保湿で角層のバリア機能を回復させることができれば、皮膚炎を起こす前に食い止めることができます。

顔もボディも、
おしゃれ着を洗うつもりで!

角層のバリア機能を低下させる要因のなかには、加齢や気温の低下など避けられないものもありますが、「皮膚の洗い過ぎ」や「皮膚のこすりすぎ」は、私たちが自分で対処できる要因です。お顔やボディの皮膚が乾燥しがちな人は、クレンジングや洗顔、スキンケアのしかたに問題があるかもしれません。

日本人は清潔思考なので、毎日お風呂に入ってはゴシゴシからだを洗う人がほとんどです。そのほうが健康的だと思われているからですが、ちょっと思考を変えてみましょう。
例えば、大切にしているシルクのシャツをおうちで洗濯するとき、あなたはどうしますか?
おそらく、ぬるま湯に浸して、おしゃれ着用の洗剤を使ってやさしく洗うのではないでしょうか。けっして、熱いお湯につけてゴシゴシもみ洗いしたりはしませんよね?

お顔もボディも、洋服と同じ。大切なシルク肌です。熱いシャワーや熱いお風呂、強い指の刺激は、皮膚を乾燥させる要因になります。 まず、洗顔に使用するお湯は「ぬるま湯」が鉄則。ぬるま湯、と言っても、人によって感覚が違うと思いますが、具体的には30〜40℃、かなり水に近い温度です。体を洗う時のシャワーの温度は、40℃以上に設定している人がほとんどでしょうから、そのお湯でついでに洗顔するのはN Gなのです。

また、洗顔するときや化粧水をつける際の指の力が強いと、デリケートなシルク肌にはそれだけでも負の刺激になります。 よく泡立てた洗顔料を手に取って、そっと転がすように洗いましょう。ぬるま湯でよくすすいだあとは、柔らかいタオルでそっと押さえるように水気を拭き取ります。

もしも、あなたが農作業に従事して汗だくになるまで働いたり、アウトドアスポーツをしてホコリまみれになったりしているなら、入浴して汗やホコリ、土汚れを洗い落とすためにタオルに石けんをつけて全身をよく洗うことも必要だと思います。
しかし、私たちのほとんどは、そのような生活ではないはず。ふだんの入浴なら、まずシャワーでざっと汗を流してから40℃以下のぬるめのお湯に浸かり、皮膚についた汚れを浮かせてから、手のひらに石けんボディシャンプーをつけて、なでるように洗えば十分です。
刺激の少ないボディタオルで洗うのは、週に一度くらいでいかがですか?(ナイロンタオルは、皮膚表面の角層を傷つけるのでおすすめしません)

洗顔するときには「ぬるま湯」で! 体はぬるめのお風呂でつけ置き洗いを!
そして、洗顔後やお風呂上がりに、素早くやさしく保湿をすれば、肌の乾燥は改善していくはずです。

肌の潤いを助ける
食生活とは?

肌の乾燥を防ぐためには、外側からの保湿ケアだけでは不十分です。必要な栄養をきちんと摂ることによって体の内側から皮膚が健康になり、しっとり肌をつくるのです。
皮膚の細胞を健康に保つために必要なのは、「良質なタンパク質」と「オメガ3系の脂質」。良質なタンパク質とは、アミノ酸スコアの高いタンパク質のことですが、具体的には卵や肉類、大豆製品、乳製品などが該当します。

もうひとつのオメガ3系の脂質を摂れるものとしては、ツナ缶やサバ缶がおすすめ。 タンパク質も摂れるうえ、買い置きしやすい食材です。
オメガ3は、私たちが自分の体内でつくることができない必須脂肪酸です。これが不足すると、肌や髪の潤いが失われて乾燥を招きます。魚の缶詰以外にも、亜麻仁油やえごま油、胡桃やアーモンドなどのナッツ類に多く含まれます。 また、皮膚の抗酸化力をアップさせるビタミンCやビタミンEも大切です。
角層の水分保持に必要なセラミドはこんにゃくやしらたき、大豆、黒豆、海藻類に、皮膚の細胞の形成に必要な亜鉛は牡蠣や赤身の肉、卵黄などに含まれます。これらも積極的に食生活に取り入れましょう。

肌の潤いには、
筋肉も必要です

最後に、肌の潤いには運動も欠かせない要素のひとつだということを知っていますか?
テレビで観る、マラソンや駅伝の女子ランナーたちを思い出してください。彼女たちの鍛え抜かれた手足の皮膚に注目すると、ツヤがあり、陽を浴びてキラキラ輝いて見えるほどですよね。年間を通して走っているのですから、たくさん日焼けするでしょうし、冬は冷たい風にもあたっているはずなのに、なぜ?と思いませんか。

キーワードは「筋肉」。
筋肉は、約7割が水分なのです。全身の筋肉が水を溜め込むタンクのような役割を担っているので、運動して筋肉をつけることによって、体内により多くの水分をキープし、皮膚も潤うのです。
反対に、高齢者の肌が乾燥しがちで、肌荒れがなかなか改善しないのは、筋肉が落ちてしまって皮膚に水分を保持することができなくなっているからなのですね。

そして、皮膚に水分が多ければ、肩や腕、足腰の関節が動かしやすいので、筋肉をつけやすくなります。
反対に、皮膚が乾燥していると、手首や足首をねじるような場合も皮膚が突っ張ってしまい、スムーズに動かすことができないため、運動効率が落ちて、ますます筋肉がつきにくくなります。おいしく食べて体を動かし、しっとり肌としなやかな筋肉を身につけられれば、一石二鳥。健康的でみずみずしい肌にはくすみも生じにくく、若見え効果も期待できそうです!

この記事について

・乾燥肌は、皮膚の炎症の予備軍!?
・顔もボディも、おしゃれ着を洗うつもりで!
・肌の潤いを助ける食生活とは?
・肌の潤いには、筋肉も必要です

参考文献:
漆畑 修著『敏感肌の診療』(メディカルレビュー社)、『美しくなる入浴術 お風呂と温泉で心・体・素肌をきれいにする』(メディカルトリビューン)


構成/文 吉本 直子
医療・健康ライター。一般向けの健康書籍や雑誌記事の執筆をはじめ、医師向けの学術誌制作にも携わる。得意なジャンルは皮膚科学全般および美容皮膚科学、婦人科学、漢方医学、栄養学など。ライフワークは医学学会に参加することと、歌舞伎と浮世絵から江戸時代の人たちのセルフメディケーションを学ぶこと。

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