蚊は体長5mm前後の小さな虫で、マンションの3階くらいの高さまでは飛ぶことができますが、人の衣服に付いてエレベーターで上がったり風に吹き上げられてきたりするので、上階の住居にも出没します。
私たちの皮膚に止まって血を吸うのはメスの蚊で、たいていは顔や手足など衣服から出ているところが刺されます。
蚊にも種類があり、庭や公園など屋外に生息するのはヤブカ類のヒトスジシマカ、室内にいるのはイエカ類のアカイエカが多いとされています。
蚊に刺されると、なぜ赤く盛り上がって腫れたり、かゆくなったりするのでしょうか。蚊は、皮膚の上から針のような極細の口を毛細血管に突き刺して血を吸います。その際、唾液を分泌するのですが、この唾液には、刺されても痛みを感じさせない麻酔成分や、吸い出した血液が空気に触れても固まらないようにする成分が含まれています。これらの成分が注入されて体内に入ることによってアレルギー反応を起こし、皮膚に炎症やかゆみが生じるのです。
実は、この赤みやかゆみなどの皮膚の反応には、刺されてすぐに現れる「即時型反応」と、刺されて1~2日後に現れる「遅延型反応」があります。
一般的に、赤ちゃんの時は遅延型反応だけなのですが、幼児期から青年期には即時型反応と遅延型反応の両方が見られるようになり、青年期~壮年期には即時型反応だけ、老年期になるとどちらも生じなくなるパターンが多いとされています。
しかし、実際には年齢だけでなく、その人の体質や刺された頻度による個人差が大きいこともわかっています。蚊に対するアレルギー抗体の変動とアレルギー反応の強弱によるものということですね。
「花火大会に行ったら、私だけ蚊に刺されまくって最悪(泣)」と嘆いている人はいませんか?同じ場所で一緒に過ごしていても、蚊に刺されやすい人とそうでない人がいることは事実。本当に不思議ですよね。“血液型がO型だと刺されやすい” “お酒を飲んでいると刺される”などの都市伝説もよく耳にしますが、さて正解はいかに?
そもそも、暗闇や広い屋外で、蚊たちはどうやってターゲットを見つけているのでしょうか。
実は、蚊の小さな触覚には優秀なセンサーが備わっていて、人が吐く息や皮膚から蒸散する含まれる二酸化炭素、生物の体温、汗をかいた時の乳酸の匂いなどを発する源を鋭く感知し、血が吸えるターゲットと認識して近付いてくるのです。したがって、蚊を誘引するこれらの要素が多い人=刺されやすい人、ということになります。
まとめると、蚊に刺されやすい人には、体温が高い、汗をかきやすいといった特徴があります。そして、アルコールを飲んでいる時や、運動直後も要注意。また、蚊は明るい環境下では濃い色のものに誘引されるため、黒っぽい服を着ていると刺されやすい傾向があります。
蚊に刺されないための予防策としては、これらの条件を排除するように心がければよいということですね。
■ 室内では適切にエアコンなどを使って、体温が高くなりすぎないように気をつける。屋外では、携帯扇風機やうちわ、クール肌着などで体温を下げる工夫を
■ 汗拭きシートやおしぼり、シャワーなどで、こまめに汗ケアをする
■ 夏の外出時は、長袖と脚を露出しないスタイルで、できるだけ白っぽい服装を心がける
■ 肌にやさしい虫除けスプレーやローション、虫除けシートなどを常備する
■ 寝る時には、寝室に蚊取り線香などを常備する。