「シャワーで済ませずに湯ぶねに浸かる」、「家でも靴下をはく」、「冷たいものはやめてホットドリンクを飲む」いずれも冷えを遠ざけて、効果的に体を温める正しい温活法ですよね。
この数年で、薄着に見えても極暖効果のあるインナーや、スマホの充電器が携帯カイロになっているものなど、さまざまな温活グッズを見かけるようになりました。
でも、体を温めたくなるのは、冷えていることを自覚しているから。
それなら、まず「冷やさない」ことから始めればいいのでは?日常生活のなかで、自分が気づかないうちに体を冷やしてしまっていることだってあるかもしれません。
「体が冷える」という現象を科学的に言い換えると、血液の流れが滞って自分の体内で熱をつくれなくなったために、体温が下がってしまうこと。
現代人の便利になりすぎた生活が、体温調節をすることができない、冷えやすい体を生んだとも言えるでしょう。
原始時代の先祖たちは、火を使うことを覚えて暖を取れるようになり、冷たい外気から身を守ってきた毛皮を脱ぎました。
しかしその結果、火が消えて寒くなっても自分で熱を産生する力が衰えてしまったために、いったん脱いだ毛皮をまた着込むことになりました。
その後も文明の発達とともに、私たちの暮らしは冷暖房完備で車移動にエレベーター、冷凍冷蔵庫に支配され、自分で熱をつくって体内にキープし、必要に応じて放熱して汗をかく、という生物としての体温調節能力が衰え、体温が下がって常に冷えを感じるようになってしまったのです。
女性のほうが冷えを訴えやすいのは、一般的に女性は男性よりも筋肉の量が少なく、脂肪が多いから。
私たちの体は、骨や神経を除けばほとんどが筋肉と脂肪とで構成されています。
筋肉には血液が流れていて、熱を産生することができるのに対し、脂肪には血流がないため、いつも冷たいのです。
ジムに通って筋肉を増やし、血流をよくすることも、冷え防止に効果的ということですね。
高温多湿な環境で暮らす私たちは、冷蔵庫で冷やしたお茶やビールなどを飲むことが習慣化しています。
湿度の低いイギリスやドイツなどでは、ジュースやビールでさえ常温で提供されることが普通なので、日本人は戸惑うようですが。
冷たい飲みものによる体の冷えは、疲労感や胃腸の不調、頭痛、肩こり、不眠など、さまざまな体の不調を引き起こします。
たとえば、温度管理された室内で冷たいものをごくごく飲んだとき、体のなかでは何が起きているでしょうか?
私たちの体内の温度は37〜38℃と、かなり高めに保たれています。
そこに、冷蔵庫から出したばかりの8℃くらい飲みものが流れ込んできたら、その温度差は約30℃。
そのままでは神経系などに不調が生じてしまうため、消化管の周りを流れる血液がこれを温め、できるだけ温度差をなくして胃腸に負担がかからないよう、調節システムが働くのです。
冷たいものばかり飲んでいると、疲れやすさを感じるのが当然のことだとわかりますね。
水分補給のためのお水やお茶は、ペットボトルでも常温で飲む習慣を。もちろん、温かいお茶なら、なおいいですね。