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Beauty
2025.4.10

江戸娘たちのメイク事情

江戸娘たちのメイク事情
「鼻を高く見せるメイクがしたい」「丸顔をシュッと見せるには?」。 私たちは日々鏡をのぞき、気分を上げるためにお化粧をします。
雑誌やSNSでコンプレックスをカバーする方法を調べたり、新しいコスメをチェックしたりすることもありますよね。
実は、こうした習慣は現代人だけのものではなく、約300年前の江戸時代の女性たちも、私たちと同じように、きれいになるためのメイク法を追求していたのです。

メイクやヘアスタイルで
見分ける江戸時代の女性たち

年明けから、テレビの大河ドラマで江戸時代の町人や吉原の遊女たちの日常が描かれ、話題を呼んでいます。庶民の文化が開花したこの時代には、ファッションやメイクへの関心が高くなり、女性たちは浮世絵版画や挿し絵入りの本、歌舞伎の衣装などから、流行りのヘアスタイルやコスメ、着物の柄などの情報を得て、おしゃれを楽しんでいました。

当時のメイクの解説書などを見ると、江戸の女性たちの間では、濃い目のメイクよりもナチュラルメイクのほうが粋(いき)だとされ、薄化粧が主流だったようです。

一般的に、女性は結婚が決まると「お歯黒(はぐろ)」を施し、子どもができると眉を剃り落とす習慣がありました。お歯黒は、ウルシ科の植物に虫が寄生してできた五倍子(ふし)の粉と、釘などの金属を酢や米のとぎ汁で沸かした鉄漿水(かねみず)を歯に塗って黒く染めるものです。

ヘアスタイルにも流行があり、時代や職業、年齢によって髷(まげ)の結い方が異なりました。つまり、見た目で既婚者かどうかや身分などが、ある程度わかったというわけですね。
また、「爪紅(つまべに)」といって、高級遊女や裕福な女性たちは、爪にマニキュアを塗ることもありました。

メイクカラーは
紅と白、黒の3色

今でこそ、メイクに使われる色味はブラウンやパープル、ブルー系など、カラーバリエーションも豊富ですが、江戸時代には天然色素から作られるコスメしかありません。
基本的には、コスメカラーは白粉(おしろい)の白と眉墨などの黒、そして紅の3色。それらを使いこなして化粧法を工夫していました。

まず、洗顔後は化粧水で肌を整えます。江戸時代にも美肌を育て、化粧くずれを防ぐ効果がある「江戸の水」という化粧水が市販され、絵本などにもさかんに広告が載りました。
ベースメイクはもちろん、白粉です。江戸時代も今と同じく、美白ブーム。色白に見えるように白粉を塗りました。 当時の白粉は、水銀や鉛を原料にしたものです。ただ真っ白に塗るのではなく、濃淡をつけて塗り重ねることで立体感を出す工夫をしていました。 白粉にほんの少し紅を混ぜて、チークや目周りのポイントメイクとして使ったことも記録されています。
黒は前出のお歯黒のほか、油煙に油を混ぜたものや摺り墨が、アイラインや眉を引くために用いられていました。
紅は、次にお話しする口紅の赤色です。 このように、少ない色数でも、濃淡や重ね方などで工夫することで、江戸の女性たちは自分が理想とするメイクを追求していたのです。

200年前の口紅の
流行色は緑系!?

リップメイクに関しては、江戸時代には上唇は薄く、下唇を厚めに見せるのがおしゃれとされていました。そのため、紅の入れ方もそれが基準になります。
当時の口紅はベニバナの花弁から作られていましたが、とても高価な贅沢品でした。高級遊女や裕福な商家の娘たちでなければ、上質な紅を手に入れることはできなかったようです。

渓斎英泉『当世好物八契』国立国会図書館デジタルコレクション
江戸時代後期の文化文政時代(1804〜30年頃)、「笹色紅(ささいろべに)」あるいは「笹紅」と呼ばれる緑色に光る口紅が大流行し、浮世絵にも描かれました。上記の絵は、この時代の女性を描いた美人画ですが、よく見ると下唇だけ緑色に塗られています。 
上質な紅を何度も塗り重ねると、緑色に光ってリップグロスのような効果をもたらすのです。 効果な紅を買うことのできない庶民の女性たちは、墨などで代用してメイク法で笹色紅のように見える工夫をしました。

ロングセラーになった
メイク本

江戸時代には、メイク本も出版されていました。なかでも、京都で流行している化粧術や風俗、髪型、立ち居振る舞いなどを、絵入りで詳しく解説した『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』は、女性たちのおしゃれのバイブルとして愛読され、ロングセラーとなりました。

江戸後期の文化10年(1813)に出版されてから明治時代に入ってからも版を重ね、大正12年(1923年)に関東大震災で版木が失われるまで、実に100年以上も売れ続けたというから驚きです。

もちろん、江戸時代の“美人顔”の基準は今とは少し違いますが、お肌の美白法やアイメイクのラインの引き方など、江戸娘たちのニーズは、現代の私たちとほぼ同じだったことがわかります。 当時の美意識に照らすと、低い鼻、垂れ目、吊り目、大きすぎる目、厚い唇、丸顔などが、江戸娘たちには修正したいコンプレックスになっていたのです。

佐山半七丸/著、速水春暁斉/画『都風俗化粧伝』東京都立中央図書館所蔵(P22)

『都風俗化粧伝』には、低い鼻を高く見せるためのハイライトの入れ方まで図解されています。
「鼻は顔のセンターにあって目立つので、鼻筋が通っていたほうがよい」としたうえで、 「鼻には顔全体よりも白粉を濃い目につける」、「鼻筋の両脇は白粉を濃く」、「眉は少し濃く」、「紅は薄く」など、細かくテクニックが解説されています。
ところで、この『都風俗化粧伝』では、メイク法だけでなく、スキンケアや全身の身だしなみ、歩き方や目線をどこに向けるとよいかなどの立ち居振る舞いについても解説されています。さらに、「顔だけ化粧しても、手がガサガサではダメ」と諭し、ハンドケアについても言及されています。

美を追求することは、時代を超えて私たちのテーマであり、喜びでもありますが、うわべだけを取り繕うのではなく、体の内側からの健康美が基本。健やかで清潔な美しさがあってこそ、メイクも映えるということですね。

この記事について

・メイクやヘアスタイルで見分ける江戸時代の女性たち
・メイクカラーは紅と白、黒の3色
・200年前の口紅の流行色は緑系!?
・ロングセラーになったメイク本

協力/関原 彩(せきはら あや)
日本近世文学研究者。博士(日本語日本文学)。江戸時代の小説や絵画の研究を専門とする。

参考/『ウチの江戸美人』(晶文社)、『化粧の日本史』(吉川弘文館)、『江戸時代の流行と美意識 装いの文化史』(三樹書房)

構成/文 吉本 直子
医療・健康ライター。一般向けの健康書籍や雑誌記事の執筆をはじめ、医師向けの学術誌制作にも携わる。 得意なジャンルは皮膚科学全般および美容皮膚科学、婦人科学、漢方医学、栄養学など。 ライフワークは医学学会に参加することと、歌舞伎と浮世絵から江戸時代の人たちのセルフメディケーションを学ぶこと。

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