いわきF C クリニック( 福島県いわき市) の齋田良知院長は、共著『10人の医師と研究者の知見を集約「寿命が延びる」方法を1冊にまとめてみた(2022年8月アスコム)』で、「中高年は年々筋肉自体が弱ってきます。弱い部分、強化したい部分を意識し、そこを鍛えるためのトレーニングが重要です。筋トレは裏切りません」と述べています。
齋田医師の研究によると、アスリートの血中のビタミンD値が、2019年以前に比べて大幅に低くなっています。
コロナ流行に伴う行動制限や外出自粛で、屋外トレーニングが制限され、日照不足によって血中ビタミンD濃度が低下したのです。
コロナの長期化で、この傾向に拍車がかかっている恐れがあるのはスポーツ選手だけではなく、すべての人々に当てはまります。
日頃からビタミンD不足によるケガに充分気をつけましょう!
ビタミンDは、日本人に不足しがちなビタミンといわれ、食事からの摂取や日光浴により合成されます。
そして冬など日照時間が短くなる時期は、ビタミンD不足がさらに助長され、骨折や転倒によるケガが危惧されるため、ビタミンDの摂取と可能な範囲での日中屋外での活動が推奨されます。
太陽の下、屋外でウォーキングなどの運動を楽しむのは、心身のリフレッシュにとても有意義です。
顔と両手だけでなく、両腕、足などの部分に太陽光を当てると、照射面積は2倍になり、必要なビタミンD量に対する照射時間は半分で済みます。
晴れた日には30分でも日光浴をして相当量のビタミンDを合成しましょう。
腹筋は日常生活で鍛えづらい筋肉のひとつ。
加齢とともに衰えやすい筋肉です。腹筋が衰えると骨盤の位置が変わり、腰痛や股関節が詰まります。
すると、それをかばおうとして膝や足首に痛みが連鎖することもあります。
腹筋の強化は、転倒、骨折予防に直結します。
水泳は、肩甲骨の動きを良好にし、つながっている首回りの筋肉をほぐします。
水中は関節に負荷をかけずにトレーニングできるので、特に、足、足首、ひざ、股関節に悪い人に向いています。
転倒、骨折予防とはいえ無理な筋力アップは禁物。
1週間当たりの負荷は、過去1ヶ月にかけた負荷の1.3倍までに抑えると疲労を回復させ、免疫機能を維持し、体を痛めることなく効果的なフィットネスにつなげられます。
また、1週間、毎日連続して運動するとケガをしやすくなり、寿命が短くなるという論文があります。
1日おきに運動するなど週2、3回は運動を休みましょう。適度な運動はストレスを解消し、記憶力もアップさせます。
運動により脳の血流がよくなるので、脳が活性化され、思考力や記憶力も高まります。
また、心に安らぎをもたらすセロトニンなどの神経伝達物質が脳内に増えることが分かっています。
「齋田式9の具体策」で心身ともにフレッシュな毎日をお過ごしください。
この記事について
・ビタミンD不足によるリスクとは?
・お日様を浴びてビタミンDを作りだそう
・適度な運動で記憶力もアップ
監修 齋田良知
いわきFC クリニック(福島県いわき市)院長。日本整形外科学会認定専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。いわきサッカー協会理事。スポーツサイエンスと地域医療の二刀流、データに基づく指導でトップアスリートから高齢者まで幅広い層から絶大な信頼を得ている。
構成/文 高橋 誠
医療・健康コミュニケーター /病院広報コンサルタント。日米通算 37 年の広報業務を通じ医療・メディア関係者と幅広い交流網を構築。プレジデントオンライン連載「ドクターに聞く“健康長寿の秘訣”」、月刊美楽連載「医療・健康分野のスーパーパイオニアたち」、ダイヤモンドオンライン、現代ビジネス ( 講談社 )で医療記事を執筆中。