ご飯を食べた後の食べ物の残りがついたままの茶碗や食器を、洗わずに放置してしまったとして、次の食事のときにその食器をそのまま使いますか?
さすがに気持ちが悪いし、季節や室温によっては食中毒の原因にもなりそうですよね。
食後の歯磨きもこれと同じだと考えれば、やはり毎食後に歯磨きをしたくなります。
オフィスビルの女子トイレなどでも、お昼休みになるとランチ後の女性たちがマイ歯磨きセットを使ってささっと歯磨きをしている光景が当たり前になりました。
出先でどうしても歯磨きができないときも、歯間ブラシや糸ようじ、洗口液などを持ち歩いてしっかりブクブクうがいをすることを習慣づけましょう。
食べ物の残渣(残りかす)が口の中に残ったままにしないことで、
口臭予防はもちろん、長期的には虫歯や歯周病の予防につながります。
それだけでなく、口腔ケアは中年以降に増える糖尿病や動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病や、
高齢者に多い誤嚥性肺炎とも深く関わっていることがわかってきました。
シニアのための健康相談では、「60代になる頃から、なぜか肌荒れや肌の乾燥がひどくなった」というお悩みが多く聞かれます。
これには、加齢とともに皮膚の細胞が入れ替わるサイクルが長くなるなど、いくつかの原因があるのですが、歯や胃腸が弱くなったために肉類などを食べる量が減り、「タンパク質不足」に陥ってしまうことも一因になっていると指摘されています。
正しい口腔ケアをするためには、市販のオーラルケアグッズを上手に利用すること。
歯ブラシも、ヘッド部分のサイズや毛の硬さがさまざまです。大きすぎないもの、毛が硬すぎないものを選ぶとよいでしょう。
特に、力を入れてガシガシ磨く傾向のある人は、歯磨きのたびに歯ぐきや歯の表面のエナメル質を傷めてしまい、歯の根もとの「歯周ポケット」が深くなりやすいため、毛足が柔らかめの歯ブラシを選び、研磨剤の入っていない歯磨き粉を選ぶことをおすすめします。
また、歯磨き粉も研磨剤や界面活性剤が配合されていないもの、虫歯予防効果のあるフッ素入りのものなど、いろいろな種類やフレーバーがあります。
界面活性剤は泡立ちをよくする成分ですが、ブクブク泡立ちすぎると、ちゃんと磨けているかわがかりにくいだけでなく、何となく磨けているような気分になりがちなので、注意しましょう。
そして、舌のチェックとお手入れも忘れずに。
舌の色が不健康になっていない、なかなか治らない口内炎ができていないか、歯が強く当たって舌の縁が変形していないかなど、観察してみましょう。
舌の表面に白っぽい「舌苔」が付いている場合には、市販の舌ブラシにぬるま湯を含ませてやさしくクリーニングします。
味を感じる「味蕾」の細胞はとてもデリケートなので、歯ブラシなどでこすってしまうと、かえって傷をつけてしまいます。
寝ている間に「歯ぎしり」や「食いしばり」をすることによって、歯の先端がすり減ってしまう、あるいは指で押すとぐらぐらするようになる「睡眠時ブラキシズム」も増えています。
家族から「歯ぎしりがうるさい」などと指摘されなくても、朝起きたときに肩が凝っていたり、顎がだるい感じがしたりする人は、
無意識に歯を食いしばっているのかもしれません。睡眠時ブラキシズムは、歯並びやストレス、飲酒や喫煙、遺伝や薬の副作用などが原因で起こるとされているものの、詳しい、メカニズムはわかっていないようです。
歯科クリニックで歯型を取ってマウスピースを作ってもらって就寝時に装用して眠ることで症状が軽減することも多く、健康保険の適応にもなっているので、思い当たる人はぜひ相談してみましょう。
もちろん、最も効果的で大切なのは毎日のセルフケアですが、定期的に歯科クリニックで検診とクリーニングをしてもらうことも必要です。
ちゃんと歯磨きをしているつもりでも、意外な場所の磨き残しがないか、間違った歯磨きで歯や歯ぐきを傷つけていないかなどをチェックしてもらいましょう。
歯垢が固まって歯石が付いている、赤ワインやコーヒー、茶渋などによる歯の着色化が目立つような場合も、ひどくならないうちに歯科衛生士さんにきれいにしてもらうとさっぱりします。
できれば、かかりつけ歯科クリニックを見つけて、何も症状がなくても、半年に一度くらいは検診とクリーニングに通えるといいですね。
初期の虫歯や歯周病を見つけてもらうことはもちろん、ブラキシズムの有無や対策についても、同じ歯科医師による経過観察はとても重要です。
マスクを外して会話するようになった今、笑顔に自信を持てるような口腔ケアを実践してください。
この記事について
・歯を磨くことには、いくつもの目的があります
・市販のケアグッズを賢く活用して
・眠っている間に、歯を食いしばっていませんか?
・「かかりつけ歯科医」を見つけよう
構成/文 吉本 直子
医療・健康ライター。一般向けの健康書籍や雑誌記事の執筆をはじめ、医師向けの学術誌制作にも携わる。得意なジャンルは皮膚科学全般および美容皮膚科学、婦人科学、漢方医学、栄養学など。ライフワークは医学学会に参加することと、歌舞伎と浮世絵から江戸時代の人たちのセルフメディケーションを学ぶこと。
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