スキンケア・アイテムの機能を最大限に生かすには
#beauty
「ドラッグ・デリバリー・システム」という言葉を聞いたことがありますか?
薬の成分が、確実に目的の場所に運ばれて効果を発揮するのを助ける技術で、病気の治療薬や予防ワクチンを研究・開発する過程で注目されるようになった分野です。実は、この技術は私たちが毎日使うお化粧品にも応用されているのです。
「ドラッグ・デリバリー・システム」とはどんなものか、ご存知ですか?
単語の意味をつなぎ合わせると、「薬・配達・仕組み」ですから、薬品の配送方法のこと?と思ってしまいそうですが、残念ながらそうではありません。
ドラッグ・デリバリー・システムとは、日本語で表すと「薬物送達学」といわれ、体内に取り込まれた薬の成分を、届けたい目的の場所にピンポイントで輸送することを指す用語です。
正式にはドラッグ・デリバリー・システム(Drug Delivery System)ですが、薬学の世界では頭文字を略して「DDS」と呼ばれることが多く、創薬(新しい薬をつくること)と並んで、大切な研究分野とされています。
例えば、病気の治療薬や、病気を予防するためのワクチンなどを開発する際には、内服薬(飲み薬)や注射薬として体内に入った薬が壊れずに目的の場所に到達し、そこで配合された分量の成分が作用するように設計する技術が必要です。その際に重要になるのがDDSの技術なのです。
薬の効果が確実に発揮され、しかも副作用を生じさせないことを追及するDDSの技術は、がんなどの重篤な病気の治療薬だけでなく、一般に広く用いられる内服薬や皮膚科の外用薬(塗り薬)にも応用されています。
かぜなどで発熱した時には、解熱剤を服用することがあります。口から飲んだ錠剤やカプセルに入った散剤(粉状の薬)が胃に運ばれ、薬の成分が胃の粘膜の毛細血管から吸収されて、脳の体温をコントロールする中枢に作用して熱が下がります。
何気なく飲んでいる解熱剤も、その成分が効果を発揮するためのDDSの工夫があります。
また、皮膚に炎症が起きてかゆみがひどい時、皮膚科でかゆみ止め成分が配合された軟膏が処方されることがあります。
塗った薬の成分が皮膚から体内に吸収され、炎症を起こしている細胞に作用してかゆみを鎮めるわけですが、やはりDDSの工夫で、周りの健康な細胞に悪影響が及ばないように考えられているのです。
DDSの考え方とその技術は、薬学の世界だけでなく、私たちが日々使っている化粧品にも応用されています。
スキンケアの効果を高めるためには、化粧品に含まれている成分が、皮膚から吸収される過程で変質せずに体内に届き、効果を発揮することが必要です。
そのために、化粧品の開発では、大切な成分が壊れないようにコーティングしたり、皮膚の組織を通過しやすい状態に保持したりするための工夫が施されます。
私たちでも応用できる例として、近年、注目されている「導入美容液」があります。
ローションや乳液を使ってみても、なんとなく肌に入っていかないような気がすることはありませんか?
私たちの肌は、年齢を重ねるにしたがって表面に近い角質層が厚く、硬くなっていきます。そのために、若いうちは自然に肌になじんでいた潤い成分なども、年齢とともに吸収されにくくなるのです。
優れた成分を含む化粧品を使っても、皮膚の内側に届かなければ、効果を発揮することができません。
導入美容液は、加齢や乾燥などの影響で化粧品成分をスムーズに吸収できなくなった肌に潤いを与え、その後に使用する化粧品の成分が通りやすくなるように整えるものです。
本来のバリア機能が整った肌は、化粧品成分の吸収効率も高い状態です。
導入美容液で肌の通り道を整えると、次に使うローションやジェルなどの引き込み力が増して、同じ化粧品でもスキンケアの質がぐんとアップすることを実感できるはずです。
化粧品のDDSを意識すると、スキンケア化粧品を使う順番や、正しく洗顔することの大切さがわかりますね。
オールインワンタイプの化粧品を使用する時も、その前に導入美容液で肌の通り道をつくることによって、オールインワンの成分がより肌になじみます。
つまり、化粧品は目的に応じて使い分けたり、重ね使いをしたりすることがとても重要だということです。
例えば、目もとの乾燥が気になる時に使いたいアイクリームなどの集中ケアは、オールインワン化粧品でしっかり肌のベースを整えてから重ねることで、より効果を実感できるはず。
これから続く夏の暑さとエアコンによる乾燥に負けない肌をキープするために、DDSの発想を取り入れてみてください。
構成/文 吉本 直子
医療・健康ライター。一般向けの健康書籍や雑誌記事の執筆をはじめ、医師向けの学術誌制作にも携わる。
得意なジャンルは皮膚科学全般および美容皮膚科学、婦人科学、漢方医学、栄養学など。
ライフワークは医学学会に参加することと、歌舞伎と浮世絵から江戸時代の人たちのセルフメディケーションを学ぶこと。
薬の成分が、確実に目的の場所に運ばれて効果を発揮するのを助ける技術で、病気の治療薬や予防ワクチンを研究・開発する過程で注目されるようになった分野です。実は、この技術は私たちが毎日使うお化粧品にも応用されているのです。
薬を目的の場所に間違いなく運ぶには
「ドラッグ・デリバリー・システム」とはどんなものか、ご存知ですか?単語の意味をつなぎ合わせると、「薬・配達・仕組み」ですから、薬品の配送方法のこと?と思ってしまいそうですが、残念ながらそうではありません。
ドラッグ・デリバリー・システムとは、日本語で表すと「薬物送達学」といわれ、体内に取り込まれた薬の成分を、届けたい目的の場所にピンポイントで輸送することを指す用語です。
正式にはドラッグ・デリバリー・システム(Drug Delivery System)ですが、薬学の世界では頭文字を略して「DDS」と呼ばれることが多く、創薬(新しい薬をつくること)と並んで、大切な研究分野とされています。
例えば、病気の治療薬や、病気を予防するためのワクチンなどを開発する際には、内服薬(飲み薬)や注射薬として体内に入った薬が壊れずに目的の場所に到達し、そこで配合された分量の成分が作用するように設計する技術が必要です。その際に重要になるのがDDSの技術なのです。
薬の効果が確実に発揮され、しかも副作用を生じさせないことを追及するDDSの技術は、がんなどの重篤な病気の治療薬だけでなく、一般に広く用いられる内服薬や皮膚科の外用薬(塗り薬)にも応用されています。
かぜなどで発熱した時には、解熱剤を服用することがあります。口から飲んだ錠剤やカプセルに入った散剤(粉状の薬)が胃に運ばれ、薬の成分が胃の粘膜の毛細血管から吸収されて、脳の体温をコントロールする中枢に作用して熱が下がります。
何気なく飲んでいる解熱剤も、その成分が効果を発揮するためのDDSの工夫があります。
また、皮膚に炎症が起きてかゆみがひどい時、皮膚科でかゆみ止め成分が配合された軟膏が処方されることがあります。
塗った薬の成分が皮膚から体内に吸収され、炎症を起こしている細胞に作用してかゆみを鎮めるわけですが、やはりDDSの工夫で、周りの健康な細胞に悪影響が及ばないように考えられているのです。
DDSは私たちが毎日使う化粧品にも!?
DDSの考え方とその技術は、薬学の世界だけでなく、私たちが日々使っている化粧品にも応用されています。スキンケアの効果を高めるためには、化粧品に含まれている成分が、皮膚から吸収される過程で変質せずに体内に届き、効果を発揮することが必要です。
そのために、化粧品の開発では、大切な成分が壊れないようにコーティングしたり、皮膚の組織を通過しやすい状態に保持したりするための工夫が施されます。
私たちでも応用できる例として、近年、注目されている「導入美容液」があります。
ローションや乳液を使ってみても、なんとなく肌に入っていかないような気がすることはありませんか?
私たちの肌は、年齢を重ねるにしたがって表面に近い角質層が厚く、硬くなっていきます。そのために、若いうちは自然に肌になじんでいた潤い成分なども、年齢とともに吸収されにくくなるのです。
優れた成分を含む化粧品を使っても、皮膚の内側に届かなければ、効果を発揮することができません。
導入美容液は、加齢や乾燥などの影響で化粧品成分をスムーズに吸収できなくなった肌に潤いを与え、その後に使用する化粧品の成分が通りやすくなるように整えるものです。
本来のバリア機能が整った肌は、化粧品成分の吸収効率も高い状態です。
導入美容液で肌の通り道を整えると、次に使うローションやジェルなどの引き込み力が増して、同じ化粧品でもスキンケアの質がぐんとアップすることを実感できるはずです。
化粧品の機能を最大限に生かす使い方とは
化粧品のDDSを意識すると、スキンケア化粧品を使う順番や、正しく洗顔することの大切さがわかりますね。オールインワンタイプの化粧品を使用する時も、その前に導入美容液で肌の通り道をつくることによって、オールインワンの成分がより肌になじみます。
つまり、化粧品は目的に応じて使い分けたり、重ね使いをしたりすることがとても重要だということです。
例えば、目もとの乾燥が気になる時に使いたいアイクリームなどの集中ケアは、オールインワン化粧品でしっかり肌のベースを整えてから重ねることで、より効果を実感できるはず。
これから続く夏の暑さとエアコンによる乾燥に負けない肌をキープするために、DDSの発想を取り入れてみてください。
構成/文 吉本 直子
医療・健康ライター。一般向けの健康書籍や雑誌記事の執筆をはじめ、医師向けの学術誌制作にも携わる。
得意なジャンルは皮膚科学全般および美容皮膚科学、婦人科学、漢方医学、栄養学など。
ライフワークは医学学会に参加することと、歌舞伎と浮世絵から江戸時代の人たちのセルフメディケーションを学ぶこと。